「暮らし」という言葉は、日常生活や日々の営みを指す言葉です。具体的には、住む場所や食事、仕事、家族との時間など、人が日々の生活を送るために行うすべてのことを含みます。
日本語で「暮らし」という言葉を使うときは、単なる物質的な側面だけでなく、心の満足や生活の質、幸福感なども含めて、広い意味での日常のあり方を表現することが多いですね。人生も、「暮らし」に関連される言葉になるようです。
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同世代の著者の小説も読みますが、読み切れないことも多々あります。それは、人物の描かれ方が希薄に思えて、登場人物の造型に魅力が感じられないことがあり最後まで読めないことが多いのです。
先日、図書館に入って書架を眺めていると、目に留まったのが小説「冬の蜃気楼」でした。山田太一氏の著作です。装丁が何とも言えず素敵です。
以前「飛ぶ夢をしばらく見ない」という題名の小説を読んだことがあるですが、ロマンチックな着想に驚いて、内容を今でもよく憶えています。
そのことが脳裏に浮かび、「冬の蜃気楼」という題名の小説を借りました。1958年、東京郊外の映画の撮影所を舞台にした作品です。
著者の体験が色濃く滲んだような作品に思えました。もちろん小説ですから実と虚が入り混じっているわけですが、人物の造形に深みがあり読みやすいです。好きな小説の一冊になりました。
美少女と中年男に弄ばれる甘美で残酷な青春。
1958年、東京郊外にある映画撮影所(著者が助監督として活動した松竹大船撮影所がモデル)から物語は始まる。主人公は大学を卒業したばかりの22歳の助監督。映画界は最盛期を過ぎたとはいえまだまだ活気に満ちている。新人女優として突然主人公の目の前に現れた16歳の美少女と大根役者の中年男をめぐってストーリーは展開する。ほとんどは、巨匠が監督する映画「一葉」の撮影現場である。当時の映画製作の現場が微細に生き生きと描写される(著者がこれほど詳細に映画製作の現場を描いたことはない)。最終の第12章のみ33年後という設定である。甘美な青春の日々とほのかなエロティシズム――、青春の苦さを見事に描いた傑作長篇小説。
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