日本語で「暮らし」という言葉を使うときは、単なる物質的な側面だけでなく、心の満足や生活の質、幸福感なども含めて、広い意味での日常のあり方を表現することが多いですね。人生も、「暮らし」に関連される言葉になるようです。
※当ブログは、Amazonアソシエイトとして適格販売により収入を得ています。また、第三者配信の広告サービスを利用しています。
「蠅の帝国 (新潮文庫) 」帚木蓬生(著)の本の表紙が目に留まったので、読んでみることにしました。解説で、下記のような要約文が書かれています。
本書は、志那事変から太平洋戦争終結後までの期間、内地、満州、中国大陸、東南アジアを舞台に、軍医と医師を主人公とした全十五話からなる短編集である。主人公は古手大尉一名を除き、中、少尉、軍医見習い士官、医師と、いずれもが二十代半ばの若者たちで、彼らが医学者として戦争にどのように向き合ったのかが描かれている。
日本占領下の東南アジアに、B29の大空襲を受けた東京に、原爆投下直後の広島に、そしてソ連軍が怒濤のように押し寄せる満州や樺太の地に、医師たちの姿があった。国家に総動員された彼らは、食料や医薬品が欠乏する過酷な状況下で、陸海軍将兵や民間人への医療活動を懸命に続けていた――。二十年の歳月をかけ、世に送り出された、帚木蓬生のライフ・ワーク。医療小説大賞受賞作。
資料を参考にしながら描かれたフィクションでありながら、的確な描写力に圧倒され、虚構の物語を忘れてしまい、まるでノンフィクションを読んでいるような錯覚を覚えました。
「賢者は歴史に学ぶ」と言われていますが、本書はノンフィクションに勝るとも劣らず、迫真性のある小説です。わたしはそのように、実感のこもった物語として受け止めました。おススメの一冊です。
Amazon.co.jp
スポンサーリンク