かつてこの街は「公害の街」と云われていた。

父の納骨のために、この街にある父の実家に行くことになった。その家には叔父夫婦が住んでいて、古民家のような二階建ての住居だった。
最寄駅から徒歩で父の実家に向かう途中、私はきままに道行く風景を眺めた。かつて「公害の街」と云われていた町の雰囲気は一変していて、「緑の街」に変貌を遂げようとしているような気がした。自然に親しんでいた父にとって、この街の変貌ぶりを誰よりもよろこんでいたと思う。

インターロッキングの路面に、春の木漏れ日が降り注いでいる。
現在では、この街がかつて「公害の街」と云われていた地域だとは誰も連想しないかもしれない。高度成長期にこの街で暮らしていた父は、この街で生まれ、この街で育った。小学生のころの街を流れるドブ川は汚泥にまみれていた、そして何とも言いようもない臭いがした、と父は私に語ったことがあった。そんな父との記憶をたどりながら、懐かしい気分で路面を歩いた。

四日市市（三重県）

四日市市は1960年代から1970年代にかけて、重化学工業が発展したことにより四日市ぜんそくと呼ばれる深刻な大気汚染による健康被害が発生しました。これは、四日市公害として日本四大公害病の一つに数えられています。

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他にもある「公害の街」とされた都市

以下の都市も、公害問題で知られた例があります：

• 水俣市（熊本県）：水俣病（有機水銀中毒）
• 新潟市（新潟県）：第二水俣病
• 富山県神通川流域：イタイイタイ病（カドミウム中毒）

1. 川崎市（神奈川県）

1960年代〜70年代にかけて、京浜工業地帯の中心地として重工業や化学工場が密集。
大気汚染（亜硫酸ガスなど）や水質汚染が深刻化し、ぜんそくや気管支炎の患者が多数発生しました。

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2. 大阪市（特に堺市周辺）

大阪湾沿岸地域（阪神工業地帯）は、高度経済成長期に工場が集中し、工場排水による水質汚染や大気汚染が深刻になりました。

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3. 北九州市（福岡県）

八幡製鉄所など大規模な重工業地帯として知られ、公害が深刻でした。
しかし1960年代から市民と行政が一体となった環境改善運動が成功し、現在は環境モデル都市としても知られています。

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4. 倉敷市（水島地区／岡山県）

石油化学コンビナートがあり、大気汚染や悪臭などが問題となりました。地域住民による訴訟なども起きています。

1. 尼崎市（あまがさきし）

阪神工業地帯の一部であり、戦後の高度経済成長期に工場や製鉄所、化学工場などが密集。
その結果として、大気汚染（特に二酸化硫黄）によるぜんそくや慢性気管支炎が多発し、1970年代には「公害都市」として全国的に注目されました。
住民による訴訟（尼崎大気汚染訴訟）も起こされ、一部勝訴し、補償制度が実施されました。

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2. 神戸市（特に長田区や灘区など）

神戸市も重工業や港湾活動が盛んな地域で、大気汚染や水質汚染が問題視されました。
大気汚染による健康被害や、工業排水による瀬戸内海の汚染などが社会問題となりました。

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3. 高砂市

化学工場や重工業が集積している地域で、悪臭や排煙などによる生活環境の悪化が報告されていました。住民運動も活発に行われました。