2026-08-01

創作日記

【第4回】『夏帆』が開いた新境地——「女性主人公」と漂流

長編小説『夏帆─The Tale of KAHO─』の刊行は、半世紀におよぶ村上春樹氏のキャリアにおいて、一つの画期的な節目となりました。これまで彼の長編小説といえば、「僕」や「私」といった男性主人公の語りを通して、日常のすぐ裏側に広がる奇妙な世界や異次元へと足を踏み入れていく構造が典型的だったからです。