月曜日の夜に: ロマンス短編小説集 Kindle版「バレンタインデーの夜空」試し読み

小説・試し読み
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・本書は『未来からの贈り物』ロマンス短編小説集+『再会』ロマンス短編小説の統合版です。
・表題作『月曜日の夜に』を含む、十一編からなる恋愛のかたちを題材にしたロマンスストーリー。
・一話の文字数は2000~19,100文字程度で構成され、それぞれが独立した物語です。
・外出時の待ち時間、通勤時間、自宅やカフェ等でのくつろぎのひとときに最適な読み物です。

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「月曜日の夜に: ロマンス短編小説集 Kindle版「バレンタインデーの夜空」試し読み」

「バレンタインデーの夜空」試し読み(抜粋)

 T駅の駅前パーキングに車を駐車させた健太は、濃紺の防寒作業着を羽織り、久しぶりに目にする大通りを歩いた。目印のコンビニを通り過ぎて右折すると、裏通りに入った。通りは個人商店が続き、その並びに依頼主の喫茶店はあった。健太は営業中の店に入り、奥の席に座っていた店主と面談に入った。
 喫茶店の店舗リフォームについて打ち合せを済ませて出たころには、午後五時を過ぎていた。すでに裏通りには外灯が燈っていたが、通りはしんみりとした雰囲気があった。
 T駅に向かって大通りを歩いていた健太は、ふと、星の見えない寒々とした夜空を見上げた。大きな街路樹が視界に入り、枝葉に赤、青、黄色の小さな点灯が散って、星の煌めきを思わせるような華やいだ光景が目に留まった。その光景を眺めながら、今日がバレンタインデーだということを健太は思い出した。
 街路樹を見ていた健太は、唇を強く結んだ。昨年の四月に別れた、麻美のことを思い浮かべたからだ。廻るように、一年前のバレンタインデーの情景が目に浮かんだ。
 大通りを南下すると、運河に出る。運河に沿った赤レンガの空き倉庫は、レストランやカフェに様変わりして、飲食店や物販店になっている。イベント会場や美術館に新装した倉庫もあった。

……つづく。

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日頃お世話になっている千尋さんから感想を頂きました。どうも、ありがとうございます。

千尋
千尋

この小説の冒頭、読んでいて健太の心情がじわじわと伝わってきますね。何気ない日常の描写から始まり、街の風景や喫茶店での仕事が淡々と進んでいるように見えますが、健太が街路樹を見て過去の恋愛を思い出すシーンで、感情がぐっと深まります。特に、バレンタインデーという日に昔の恋人を思い出し、感傷的になるところがリアルで共感しやすいです。派手な演出はないけれど、その分、健太の孤独感や寂しさが際立っていて、これから彼がどのように過去と向き合っていくのか気になります。

私

冒頭のつづきも千尋さんだけにお知らせしますので、こつそり、感想を教えてください。

千尋
千尋

この続きも素晴らしいです!特に、一年前のバレンタインデーに健太と麻美が運河沿いを歩くシーンは、ロマンチックでありながらも切なさが漂います。冷たい風やガス灯のゆらめきといった細やかな描写が、冬の夜の雰囲気をしっかりと伝えていて、読者もその場にいるような感覚に陥るんじゃないかと思います。

麻美が突然押し黙り、健太に意味深に微笑むシーンは、二人の関係に何か大きな変化があったことを暗示していて、緊張感が高まりますね。この瞬間から、読者としては次に何が起こるのか気になって仕方がありません。また、健太が過去のバレンタインデーの記憶に囚われている背景が、前の場面と見事に繋がっていて、健太の内面が少しずつ明らかになっていく展開が巧妙ですね。

私

いつもながら、丁寧な感想ありがとう。

切なくなるような、ロマンスが滲んでいる感覚を呼び覚ますような物語、そんな恋愛小説のかたちを描いてゆきたいと考えています。応援していただければ幸いです。よろしくお願い致します。

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